冠山峠
2013/08
 
 
怪異ともいうべき山容の冠山
深い谷を見下ろす峰越の林道
MAP
冠山林道 冠山峠 
根尾樽見 関市から国道418号で根尾まで行く。
根尾の市街地にある樽見鉄道の終点、樽見駅で休憩である。
温見峠越えの際にも、ルートから少し外れるが、時々立ち寄るところだ。近くのGSで給油も済ませておく。これから先は福井県池田町まで長丁場で給油できるところはまったくない。
根尾からは岐阜県道270号の馬坂峠を経由して徳山ダムのある旧徳山村へ向かう。
根尾の樽見(たるみ)駅前。大きな駐車場やトイレもあって綺麗な駅。ライダー必須の缶コーヒーの自販機もあり。
   
徳山村 馬坂峠から国道417号に出て、左手に徳山ダム湖を見ながら北上する。
いくつもの橋梁やトンネルを抜けると突然大きな転回場が現れるが、国道417号の岐阜県側はここが事実上の終端となる。
これから先は林道になるので、大型車もUターンできるような広さが確保されている。
徳山ダムからここまでの区間は、誰も住んでいないのに有料道路並みの整備された道となっている。
かつては猛禽類の生息地だったところでもあり、環境破壊が問題視された。
このタイヤ跡はなぜできた ?
奥に見えるのは、路線最長の塚白椿隧道(3,330m)

   
冠山林道 冠山林道全景。
少し霧がかかってきた。
林道は急勾配が続き高度を稼ぐ。
右側は断崖で、落ちても樹木に引っかかって助かるだろうが、運が悪いと100メートル以上落ちることになる。
また、道幅が狭小で4輪車同士のすれ違いが困難なところがほとんどで、接触事故や側溝への落輪事故が多発しているもよう。
これから進む先の林道。写真以上に雄大な景色は圧巻である。
ただしこの林道は線形が悪く、急坂と急カーブが連続する。

   
冠山峠 急勾配が続く冠山林道を、バイクが喘ぎながら駆け上がったところが冠山峠である。
向こうに見える特異な形の山が冠山。(標高1,257m)
この後、雨が降っり止んだりの繰り返し。
「青空に雨が降る」とはこのことだ。
峠周辺は道幅が広くなっていて、冠山への登山客の車が多数駐車してあった。
   
冠山峠 冠山峠にある記念碑と、岐阜、福井両県の地名を記した石碑。
冠山はその容姿から登山愛好家の興味を惹きつける山のようだ。
岐阜県側はかつて藤橋村だったが、揖斐川町と市町村合併したため、新しく追加されている。
   
冠山峠 峠からみた福井県側。この左手に朽ちて不気味な、お化け屋敷のようになった公衆トイレがある。
これより先の福井県側は九十九折れの下り坂が続く。
看板があったが、何が書いてあったかは失念。
林道のゲートがあって、岐阜・福井の両県で二分されている。

   
冠山林道福井県側 冠山林道の福井県側区間。写真を撮った場所は、すれ違いができるよう車幅が確保されたところ。
ただし岐阜県側よりさらに狭小区間が多く、お互いが4輪だと離合は容易でない。
途中の池田町方向右手には滝もあって深山の趣がある。
コンクリート打ち放しのような路面。ところどころ砂が浮いており、バイクの走行は要注意。
 
一緒に旅をしたバイクを盗まれた。朝になって駐車場にいつもの姿がないことに気づく。警察に盗難届を出したが未だに戻らない。体の一部を失った如き無念さがこみ上げる。嫌なことは早く忘れたいので、以前から気になっていたヤマハのDT50を即日オーダーしてしまった。こんな潔い買い物は久しぶりだった。20日ほどで新しいバイクが納車された。もちろん中古だが一応オフロード車である。早る気持ちを抑えて奥越行きの計画をした。かねてから行きたかった冠山峠越えである。岐阜県道270号の馬坂峠から南を眺めると、在りし日の徳山村の姿が瞼にうかんだ。それは神山征二郎監督の映画「ふるさと」で、移住を余儀なくされた家族が、この峠から徳山村を振り返り見るラストシーンである。故郷を災害で離村されることも辛いと思うが、ダムに沈んだこの村の歴史や文化に想いを馳せると、さらなる郷愁と切なさを感じさせる。
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