平家平・池田町東俣・宝慶寺
[後編]
2014/08
 
 
かつて村があり 人々の往来を偲ばせる峠道と
禅のこころ伝わる奥越の古刹を訪ねる
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巣原峠 池田町東俣 
 龍双ヶ滝 宝慶寺 
林道上野線 平家平から国道157号に戻って大野に向かったすぐのところに、左に入る林道がある。
この林道は巣原峠を越えて池田町へと続く林道だが、この時は途中で大規模な工事が行われていて、巣原峠まで行くことができなかった。
今後この林道が整備され開通すると、広域基幹林道大野池田線の開通にあわせ、温見峠や伊勢峠方面から池田町や武生方面への最短ルートとなるだろう。

追記
巣原峠の大野市側は、2015年6月にも再訪して掲載済み。
林道上野線と書かれた朽ちた標識があった。
すでに林道の名が消えかかっている。

   
林道上野線 林道の入り口付近。工事によりUターンして国道157号まで下って来たところ。
山から流れ出た清水がいたるところで道を横切り、全体的に湿った感じの林道となっている。
国道157号を温見峠方向より鋭角に入ると林道上野線。
   
国道476号未通区間 巣原峠が越せないので、越前大野まで出て、国道476号の未通区間である池田町東俣を訪れた。
左の写真は池田町側の事実上終端となる箇所である。
反対側の杣木俣へは武生まで出て、国道365号を経由しないと行けない。右手に林道が延びていて、ひょっとすると抜けられるかもと入ってみたが、やがて獣道のようになってしまい断念した。
武生へは、福井県道201号の魚見坂または、福井県道203号の岩谷峠越えのいずれかのルートとなるが、後者はいまだ険しい峠越えとなっている。
国道476号の池田町側未通部分で向こうは杣木俣方向。この近くに段ノ岳(標高728m)がある。
   
池田町新保 池田町新保まで戻った。
近くにスキー場もあって、冬は積雪の多いところである。
のどかな快走路を池田町水海方面へ戻る。
   
部子山林道 池田町水海から福井県道175号を登ると左手に部子山(標高1,464m)登山口へ続く林道の入り口がある。
この林道を使って、能楽の里牧場と部子山の山頂近くまて車で行くことが可能である。
ただし林道は急勾配の連続で、当方の小型バイクでは喘ぎながらの登りとなり、排気量の小ささを実感する。
一方の県道175号をそのまま進むとやがて行き止まりとなり、国道157号へは出られない。
昔は熊河峠(くまのことうげ 標高1,010m)を越え大野市巣原へ通じる峠道の記録があるが、現在は人すら通ることができない状態のようだ。
赤線が林道。1キロ毎にポストがあり、始点が12ポイントで終点が0ポイントとなっている。総延長は13Kmとの表記がある。
   
部子山林道始点 部子山へ行く林道の終点0ポイント地点。
林道はここで行き止まり。左手に部子山(標高1,464m)への登山道がある。登山客用の駐車スペースも確保されている。
行き止まりを絵に描いたような。
   
部子山の山小屋 近くには真新しい山小屋がある。無料の登山者向けの山荘で、共同利用ができるようだ。
山小屋を右手に見ながら引き返す。
   
龍双ヶ滝 池田町から大野に抜ける福井県道34号沿いにある日本の滝百選のひとつ龍双ヶ滝。
池田町から福井県道34号松ケ谷宝慶寺大野線で宝慶寺に向かう途中に位置する。
滝のある場所へは通常長時間の徒歩を要することが多いが、ここは県道に面しているので手軽に見ることが可能である。
近くには駐車場もあって、三脚を立て本格的に撮影している人も散見する。
この滝の滝壺に龍神が住んでいたとの言い伝えがあり興味深い。
 いくつも枝分かれした流れが緑に映えて美しい滝。
   
稗田峠 龍双ヶ滝から福井県道34号を北上すると大野市との境に稗田峠(ひえだとうげ)がある。
この峠頂上付近に、宝慶寺の座禅岩への小さな案内板があったので行ってみた。
 山側に座禅岩へ登坂する入り口がある。
   
宝慶寺座禅岩 座禅岩へ行く登山道。距離はわずかだが急坂である。
草木の枝につかまりながら登った。
帰りは下りにくそうな急坂の道。
   
座禅岩から銀杏峰 登山道を5分ほどで座禅岩に到着した。
宝慶寺には「宝慶寺を開いた寂円禅師が、開山前に18年間もの間、座禅岩で修行をしていた」という記録が残っている。
向こうに見える山は銀杏峰(標高1,440m)と思われる。
銀杏峰は「げなんぽ」というのが正しい呼び名。

 
福井県のそれも奥越ばかりなぜ訪ねるのか自問自答することがある。岐阜県にあっても、求める山村や廃村の風景に出会うことはできる。しかし現在においては、飛驒あたりまで行かねばならない。県境を越えることを条件としても、長野県にあっては、南信あるいは伊那まで足を運ぶことになる。比較的簡便な距離と時間で計画するならば、必然的に福井県の奥越地方となる。されとて海に面する若狭あたりには興味がないのはなぜだろう。さて、旅の続きである。杣木俣手前の国道476号分断地点へ行った帰りに、部子山周辺まで寄り道をしてしまい、当日の行程を終了する頃は既に日が傾きかけていた。気がつくと、心地よい夕暮れのそよ風と蝉の鳴き声が夏の終わりを告げていた。
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