法恩寺山と宝慶寺
上秋生・巣原・摺鉢峠
[後編]

 
2015/06
 
 
曹洞宗の古刹 宝慶寺と銀杏峰への道
蝿帽子峠に至る上秋生と奥越南部の林道を訪れる
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宝慶寺いこいの森 銀杏峰 
上秋生 蝿帽子川  
林道上野線と巣原峠 摺鉢峠 
宝慶寺の入り口 曹洞宗の古刹となる宝慶寺の入り口。
右手に大きな駐車場(無料)がある。
左折すると福井県道34号松ケ谷宝慶寺大野線で、稗田峠(ひえだとうげ)を通って池田町に通じる。
右手の立て札に「下乗」と書いてあるのは、ここからは乗り物で入ってはいけないという意味で、古語であり馬から下りることを知った。
 
宝慶寺への参道 宝慶寺の本堂へと進む。
名古刹にして参拝は無料。
本堂への参道。神社の場合、真ん中を歩くのは神のみ許されていて、外側を歩くのがマナーらしいが、寺院の場合はどこを歩いても良いそうだ。
   
宝慶寺本殿 宝慶寺本殿。
寺の歴史には、「宝慶寺は今から約700年前、寂円禅師によって開かれた」と記されている。
寂円禅師は中国宋朝の人で、道元禅師(日本曹洞宗永平寺を開山)ならびに如浄禅師のもとで参学し、道元亡き後、銀杏峰の麓にて18年間も座禅修行をしたことが宝慶寺創建のきっかけとなったとある。
建立から700年という歴史を感じさせる渋い色合い。
   
旧橋本家 寺院のすぐ手前には重要文化財の旧橋本家がある。
豪雪地帶にふさわしい木割の太い梁組をみせる。
往時の状態がそのまま保たれている。
残念ながら内部は見学できない。
   
旧橋本家案内 旧橋本家についての解説がしてある。
越前Ⅱ型というタイプとのこと。
自然、風土によって構造が異なるのだろう。
建築年代は江戸時代中期とされている。
   
宝慶寺いこいの森 宝慶寺から大野方面へ少し戻ると宝慶寺いこいの森があって、キャンプ場も併設されている。
テントサイトのみでバンガローは無いが、寝具などは貸し出しが可能で設備は整っているようだ。
ここから広域基幹林道大野池田線が部子山本面へと続くが、中間地点が建設中で通り抜けはできない。
沿道にある銀杏峰(げなんぽ)登山ルートの案内看板。  
   
名松新道入り口 広域基幹林道大野池田線をさらに進むと、銀杏峰の登山ルートのひとつである名松新道へ接続する林道がある。
立て札に従い左の林道に入る。
   
名松新道に続く林道 鬱蒼とした木立の中を行く。
路面は比較的に締まっていて走りやすいが、途中に凄まじい急勾配がある。
   
林道急勾配 さらに林道を進む。
曇りがちの天気にして、樹木の陰となって薄暗い道である。
画像からはわかりづらいが、めったにないような急勾配。
   
名松新道銀杏峰登山ルート入り口 林道終端付近にある、名松新道という銀杏峰への登山の起点。
近くに2台ほどのわずかな駐車スペースがある。
銀杏峰の登山ルートとしては最短のコースとなる。他にも大野市中島側から取り付く親水古道というルートもあるらしい(現在廃道?)  
   
銀杏峰登山口 林道大野池田線まで戻り、池田町方向へ進む。
やがて路面はダートとなり、やや荒れてくる。
宝慶寺いこいの森からおよそ3キロの地点で再び銀杏峰の登山口が現れる。
こちらがスタンダードなコースかも知れない。
林道大野池田線途中の銀杏峰登山口。
鳥居もあるが、銀杏峰登山口と記した立て札がある。
 
   
林道大野池田線 林道大野池田線はまだまだ続くが、工事中であり部子山方面へは通り抜けができない。
平成27年開通予定だったが、さらに3年ほど歳月を要するとのこと。
要は工事が遅れている。

※2015/05 奥越土木事務所にて確認。
夕方近くになったので林道を下りて大野市内まで戻り、夕食の買い出しに向かう。
   
ショッピングモールVio 大野市街まで出ることなく行けるショッピングモールVioにて買い出し。
田園の真ん中を貫く道を西進すると、広い敷地にあるショッピングモールが見えてくる。
   
上秋生 翌日は生憎の雨模様だが予定通りに麻那姫湖青少年旅行村から福井県道230号を上秋生(かみあきゅう)まで行く。
笹生川ダムを過ぎダム湖の端あたりまで来ると右へ折れて笹生川を渡る橋がある。
この橋を渡って南方向へ伸びるのが、蝿帽子川沿いの林道である。
林道蝿帽子線という。
美濃の国の県境に水戸浪士などの歴史にゆかりのある蝿帽子峠があるが、峠のはるか手前で行き止まりとなるので往復を要す。
福井県道230号を伊勢峠方向へ笹生川に沿って東進すると、蝿帽子川に沿って岐阜県境近方向へ向かう林道の橋がある。
   
 蝿帽子川沿いの林道 林道蝿帽子線を越美県境の蝿帽子峠方向に向かって南進する。
このあたりは森の中で、蝿帽子川はまだ見えない。
雨で路面が緩み走りにくい。
   
蝿帽子川沿いの林道 蝿帽子川沿いになったあたりで悪路となり、ぬかるみの連続となったのでこれ以上の南進は諦めて引き返す。
この時点でバイクもウェアも泥だらけの状態。
   
林道上野線入り口 次に向かうのは、昨年工事により通り抜けができなかった巣原峠へと続く林道上野線。
文字が消えかけた林道標識には総延長3.6キロと書いてあったが、巣原峠までの距離は更にあり、整備区間を示すと思われる。

※巣原峠付近は倒木など路面状況が非常に悪く、一般車にあっては小型の4輪駆動車においても通行の可否の判断は難しい。
また峠付近は分岐があって、環境の良い方の道を選ぶと、いつのまにか本線から外れているというトリックもあって十分な下調べが必要。
ただ、池田町側からのアプローチの方がいくぶん優しいように思う。
GPSが無性に欲しくなった。
国道157号の巣原トンネルの大野側手前を右斜めに入る道が林道上野線。
   
林道上野線 降りしきっていた雨は止んだが、山の空気がやたらと冷たい。
林道上野線を巣原峠目指して走る。
   
お花栃 途中「お花栃」の記念碑がある。
検索してみたが、名前の由来などは不明。
赤色矢印からすると、左の広葉樹を示すのであろう。  
   
林道上野線の倒木と土砂崩れ 昨年の工事中区間を無事通過するも、巣原峠を直前にして倒木と土砂崩れにより通行できず。
2007年頃には4輪駆動一般車、2009年頃にはオフロードバイクの往来記録を確認できるが、現在において峠付近は相当に路面状態が荒廃しているもよう。
徒歩にて確認すると、倒木の向こうは土砂崩れもある。
   
国道157号温見付近 国道157号まで下ってきたので、通行止めとなっている温見峠を目指して行けるところまで行ってみることにした。
温見の集落を過ぎると「岐阜県側土砂崩れにより通行止め」の案内看板があったが、道半分は通過スペースが開けてあるのでさらに進む。  
   
福井県側土砂崩れ現場 温見峠直前の地点。
福井県側で土砂崩れがあった箇所は、どうやらこの場所のようで簡易式のガードレールが設置してあった。
あくまでも一時的なもので、正式に設置工事が始まると再び通行できなくなるに違いない。
正規のガードレールは土砂に押し流されたと思われる。
ガードレール設置工事が始まると再び通行止めの可能性がある。

   
温見峠通行止め 温見峠までは来れたが、岐阜県側が柵によって遮断されている。
根尾大河原地内で土砂崩れがあったようで、事前確認によると本年のお盆までには開通を間に合わせたいとのことであった。

※2015/05 岐阜土木事務所にて確認
温見峠に到着。案の定ゲートにて閉鎖されていた。
百聞は一見にしかず。

   
林道黒谷河内線 大野側入り口 温見峠の通行止めをダイレクトに確認できたので、国道157号を越前大野方面に引き返し、今回の旅の最終目的地となる摺鉢峠を目指す。
大野市にある佛性寺黒谷観音から林道黒谷河内線に入る。
なお、林道は全線が舗装済みとなっていた。

※大野市側にある道標には総延長6.2Kmとあるが、峠の市町村境までの距離のように思う。
ちなみに福井市側の終端まで、バイクの距離計による計測によると約13Kmであった
黒谷観音への分岐を左に入る。
ちなみに右へ入る道を進むと黒谷観音。

   
林道黒谷河内線 夕方近くなって再び雨が降ってきた。
道幅は平均3メートルといったところか。
待避所がほとんど無いので、一般車同士だと離合がかなり難しいと思われる。
ところどころ路面に苔が生えていて滑りやすいところもある。
   
擂鉢峠 黒谷観音から30分ほどで摺鉢峠(標高620m)に到着。
峠名の由来は、遠くから眺めた姿が、すり鉢の形に見えるところからきているそうだ。
天候が悪く、峠の石碑の写りが良くない。  
   
擂鉢峠展望 峠付近から少しだけ大野市街を眺めることができる。
ただし林道全般は見通しが悪く展望もあまりよくない。
(雨天のためだろうか?)
小雨に霞んで、うっすらと見える大野盆地。  
   
林道黒谷河内線 摺鉢峠から大野市→福井市となる。
平均道幅は大野市側の方が少し狭いように感じた。
舗装路の直線コースもあって変化に富む。
林道黒谷河内線 杉林に囲まれた日本の林道の典型的な風景が続く。
大野市街よりアクセスが近く、お勧めの林道である。
   
林道黒谷河内線 福井市側終端 林道黒谷河内線の福井市味見側の終端。
ここから道は広くなって、やがて国道476号に接続する。
来た方向を振り返る。奥の方が大野側。
   
国道476号 国道476号を大野市へ向かって走る。
途中の丁坂(ようろうざか)を経て、大野にて夕食の買い出しをする。
この旅の最後の一晩を、麻那姫湖青少年旅行村にてラジオを聴きながらひとり静かに過ごす。
こんな時くらいしかラジオは聞かないが、かつてはクルマに標準装備されていたAMラジオを聴きながら走ったものだ。
エアコンもなかったが、三角窓から胸元に入る風が心地よかった。
歳月の経過が走馬燈のように流れる。
こういった感慨にふけるのも、ひとりぼっちの旅の楽しさである。
長距離林道を走り抜けた達成感で、雨であっても爽快で満足度大。

前編でも書いたように、いたるところで雪害の爪痕が残っており、いくつかの林道は荒れ放題で通り抜けできず、いまひとつ不完全燃焼の旅となった。それにしても例年にない肌寒い6月の入りの奥越であった。帰路も往路と同じく冠山峠を経由して帰宅したが、根尾を過ぎ武芸川あたりから東海地方らしい蒸し暑さとなった。奥越は近くにあっても、やはり北日本特有の気候である。そういえば、林道冠山線の福井県側始点となる田代では、冠山峠トンネルの掘削工事が始まっていた。完成すると1号、2号トンネルをあわせて6キロもの長大トンネルとなり、国道417号は冠山峠前後の寸断部分の直線距離にして7.6Kmがつながることになる。計画を最初に聞いたときは冗談かと思ったが、本当に工事が進んでいた。
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