上若生子・高倉峠・岩谷峠
 
2015/07
 
 
真名川上流と越美国境最西の高倉峠
福井県道203号と岩谷峠
MAP
若生子大橋 日の谷抗口
蓮如上人遺跡 高倉峠
杣木俣 岩谷峠
巣原峠付近 林道網
通行止スケジュール 今回の福井行きも徳山から林道冠山線を経由した。
国道417号、徳山バイパス最後のトンネル「塚白椿隧道」付近が工事のため時間区分での通行止めが行われていた。
行きは規制時間外でスムーズに通過できたが、帰路はこの規制に引っかかり、次の通行可能時間まで45分の待ち合わせとなった。

※規制は平成27年9月30日までとなっている。
複雑怪奇な時刻表。
なにぶん遠方なので、通過する時間の調整が困難。
 
   
冠山峠石碑 この日は出発時から小雨が降って今ひとつだったが、福井県境の冠山峠を過ぎたあたりから、いきなり快晴となる。
夏期には太平洋側が悪天候でも、日本海側が晴天は時にあることだが、こここまで急変するとは思いもよらず。
冬期はその逆が多い。
冠山峠にある石碑。
岐阜県側の銘板が多いのは市町村合併によるもの。

 
上若生子 いつもの宿泊地である麻那姫湖青少年旅行村へ向かう途中に、上若生子(かみわかご)地区の国道157号沿いにある若生子大橋に立ち寄る。
国道157号の若生子大橋たもとにあたる。
向こうが大野市街

   
上若生子大橋 若生子大橋

1976年完成。
全長203m 幅員4.2m 河川水面からの高さ35m
一般車で渡ることができる。
吊り橋の形状で、2本の太いワイヤーにて頑強に保持されている。
   
真名川下流方向 橋梁途中から真名川(麻那姫湖)上流方向を見る。
エメラルドグリーンが美しい。
   
夏の里展望台 国道対岸側にある「夏の里」展望台。
らせん階段で展望台に登る。
   
展望台からの眺め 展望台から眺める麻那姫湖。
展望台にはベンチもあって休憩もできる。
   
上若生子大橋全景 展望台から見た橋梁本体。
2本のワイヤーは防錆のため樹脂で覆われていて、その太さに圧倒される。
向こう側を通る道は国道157号。  
   
夏の里公園 展望台の下部はちょっとした公園になっており、林道上若生子・中島線の起点となる。
標識を右手に見ながら南進すると、大野市中島の麻那姫湖青少年旅行村まで真名川沿いの林道となるが、断崖絶壁路で極端に道幅が狭く、ガードレールもない荒れた道なので、一般車での通行はお勧めしない。
入り込んで引き返すにもUターンする場所すらない。
(過去に自家用車にて経験済み)
また反対の北へ向かう林道(名称不明)をひたすら進むと、真名川右岸沿いに真名川ダムまで道は続いている。
林道上若生子・中島線は、ここから大野市中島まで、真名川右岸沿いの狭くて危険な道が続いている。
   
山中にあるトンネル 上記地点から南東方向にトンネルの入り口のようなものが見える。
とりあえず林道上若生子・中島線でトンネルを目指す。
森の中で見にくいがコンクリートのトンネルが見える。
   
日の谷抗口 林道を500メートルほど進むと左上へ入る道がある。
チェーンで閉鎖してあるので徒歩で登ったところが先ほど見えたトンネル入り口である。
ここは旧中竜鉱山の「日の谷抗口」である。
2014年5月「麻那姫湖青少年旅行村」編の黒当戸抗口でも紹介したが、このあたりには数多くの抗口があって長大な坑道でつながっているらしい。
この位置から近づくにつれ坑口からの冷気を感じる。
   
坑道内部 抗口の柵越しに撮った坑道内部。
大量の水が川のように流れている。
   
林道上若生子・中島線 日の谷抗口から見た林道上若生子・中島線。
休憩所のようなベンチ付き建物もあるが人気の全くない寂しいところ。
   
瀬戸集落の分岐 翌日は武生から国道365号にて今庄へ出て、国道476号を東へ進み高倉峠を目指す。
国道476号沿いの瀬戸集落から右に折れ、芋ヶ平へ向かう。
   
蓮如上人碑 芋ヶ平にある蓮如上人(れんにょしょうにん)がお隠れになったといわれる史跡。
以下は蓮如上人についての伝説の一文。


爆発的な浄土真宗の発展をねたんだ他宗から命をつけ狙われた蓮如上人は、危険が及ばなくなるまで岩窟に身を隠されました。その間、給仕を続けたのは、地元の老婆でした。危険が去った後、別れを惜しむ老婆に上人は、「南無阿弥陀仏」の御名号をお書きになり、「恋しくば 南無阿弥陀仏と称うべし、われも六字のなかにこそ住め」と慰められたといいます。

遺跡の記念碑があるが、難解な字で書いてある。
お隠れになったという洞窟は、もう少し北へ入ったところに位置する。
 
   
芋ヶ平 芋ヶ平を過ぎるとダートが現れるが、数百メートルほどで再び舗装路になって林道塚線となる。
ここから高倉峠までおよそ10キロ。
この先が林道塚線で、本来なら岐阜県揖斐川町(旧徳山村)まで続くが、岐阜県側での道路崩落による工事のため通行止め。
   
林道塚線 林道塚線に入る。
一般車は手前のゲート柵により進入不可。
ゲート柵の標識には「岐阜県側が通行止め」と記されており、なおかつ半分開いていたので、高倉峠までならバイクで到達可能と勝手に判断して進行する。
路面が濡れているのは雨ではなく、山側から流れ出る清水によるもの。
   
林道塚線からの眺め 林道塚線をさらに進む。
急勾配な箇所はあまりなく、徐々に高度を稼ぐ。
高倉峠まで残り4キロ地点。
 
   
高倉峠 高倉峠(標高956m)に到着。
「たかくら」ではなく「こうくら」と読む。
峠には広いスペースが確保されている。
木地師が往来したことが峠のルーツであり、岐阜と福井を結ぶ峠では最も西に位置する。
道は狭いが駐車場はバスも止められるほど広い。
   
高倉峠の銘板 峠の銘板。
昭和58年に初訪問した際には、既に建立されていたと記憶する。
当時の福井県知事名が彫られている。
これも業績のひとつなのだろうか?

   
高倉峠からの展望 高倉峠からの展望。
快晴だと遠くに日本海が見えるらしいが、今の季節では無理かと思う。
峠からの雄大な眺めが素晴らしく、林道の全線復旧が待ち遠しい。  
   
高倉峠の岐阜県側 峠のピークから見た岐阜県側。
この先にウソ峠があって、美濃側から登り高倉峠にたどり着いたと思ったらまだ先だったと勘違いすることから名付けられたとのこと。
行ってみたい気持ちを抑え、次なる目的地を目指し引き返す。


高倉峠から岐阜県側は林道の崩落箇所があって通行できない。
また岐阜県側終端はゲートとユンボで頑強に閉鎖されていて通り抜けができない。
工事の邪魔になるので強行突破はあきらめた。
岐阜県側
林道塚線はこの先で道路崩落により通行できない。
   
林道塚線 林道塚線を今庄方向へ引き返す。
向こうに今庄側へ戻る林道塚線が見える。
再び9キロの道程を芋ヶ平まで降りる。
 
   
杣木俣 林道塚線を瀬戸まで戻り、国道476号の今庄側分断地点である杣木俣(そまきまた)を訪れる。
右手に入る道は建設中の森林基幹道今庄・池田線。
国道476号の今庄側の終端。  
   
森林基幹道今庄・池田線入り口 森林基幹道の今庄・池田線は全長6.8キロの内、およそ半分が完成しているもよう。
この林道が開通すると、国道476号の未通区間を補完する道となるだろう。
この先で工事により通行止め。  
   
杣木俣集落 杣木俣集落は戸数が少なく、廃屋もあったので、いわゆる限界集落なのだろうか。
豪雪地帯でもあり、実生活の苦労は察するに余りある。
よって観光で訪れることに少し後ろめたさを感じる。
それでも、貴重な都会の雑踏とは無縁の山村の風景がそのままの形で残っていた。
人気のない静かな山村。
そこはかとなく寂しさが漂う。

   
南条付近 次に向かったのは、今回の旅行での最終目的となる福井県道203号池田南条線の岩谷峠越えである。
今庄から国道365号を北上し南条駅前交差点を右折して北陸自動車道ガードをくぐったところを左折する。
福井県道202号との重複区間。
   
福井県道203号 途中、案内標識に従い右折して福井県道202号から別れると、福井県道203号は山岳方向へ向きを変え、山越えの前兆を感じる。
しばらくは広い道幅が続く。
のどかな風景の高規格道だが、やがて急に険しさが増してくる。
   
福井県道203号 突如として林道の様相になる。
この県道は福井3大険道(県道)のひとつであるらしい。
1つ目がこの県道203号池田南条線、2つ目が県道230号大谷秋生大野線で3つ目は失念。
山道の手前には、「道路が狭い」「すれ違い不可」「路肩が弱い」「落石の恐れあり」という看板が設置されているが、これを酷道4点セットと呼ぶそうである。
ちなみに、数年前まではダートが残っていたらしい。
このあたりで小熊が突然横切り驚く。
   
福井県道203号 全線にわたり幅員狭小で線形も悪く、普通なら武生から国道417号または福井県道201号を利用して池田町に出るのがスタンダードコースなので、敢えてこのような危険な道を通る車はいないようで、一台もすれ違うことはなかった。
このあたりはまだ序の口。
やがてガードレールもなき断崖絶壁路となる。

   
福井県道203号からの眺め 岩谷峠の手前2キロ地点。
向こうの山は野見ヶ岳もしくは岩谷山。
標高が高くなり、下界と違いかなり涼しい。  
   
福井県道203号 岩谷峠まであと少しの地点。
ガードレールはおろかロープも設置されていない箇所がある。
路面状況は良好。

   
岩谷峠の小屋 岩谷峠(標高710m)に到着。
この岩谷峠という名称は地元の人には通じないらしく、山道愛好家が近くに岩谷山があることから、勝手にそう呼んだのが始まりらしい。
通称名は魚見峠ともいうが、池田町側から県道201号へ行く案内標識にも魚見坂方面と書かれており、魚見峠と魚見坂は違う場所を示すのだろう。
峠には南越前町が保有する休憩所がある。
休憩所のログハウスがあって、予約不要で自由に使用可能。
ただし宿泊は不可とのこと。
 
   
福井県道203号池田町側 福井県道203号池田南条線の池田町側。
来た方向を振り返るって池田町側から撮影。
右手が岩谷峠経由 越前町方向となる。
 
   
福井県道175号 夕方まで少し時間があったので、池田町水海から福井県道175号を東へ向かう。
この県道はやがて行き止まりになっており、大野市側へ通り抜けできない。
突然行き止まりになるのではなく、徐々に狭くなり、やがて獣道化するといった表現が正しい。
道幅が狭くなり、行き止まりが近い雰囲気が漂う。
   
能楽の里への案内 福井県道203号の終点の少し手前に、部子山の能楽の里への案内がある。
地点1

広域基幹林道大野池田線の池田町側起点と思われる。
早速進入して、とりあえず巣原峠を目指す。
能楽の里まで12キロ、車で40分とある。
なぜか柵が倒れているが、通行可能と勝手に判断した。
 
   
広域基幹林道大野池田線 やはり広域基幹林道大野池田線であった。
スタンダードなルートは、もう少し水海寄りから部子山行きのルートがあり、そちらの方が道の状態も良い。
道はかなり荒れていて一般車の通行は4輪駆動車以外は無理だろう。  
   
広域基幹林道大野池田線 林道入り口から3キロほどの地点。
急勾配が続く。
簡易舗装とダートが交互に続くがバイクなら問題なく走行可能。
   
巣原峠への分岐 巣原峠へ行く「林道巣原線」の分岐点。
地点2

Uターンする形で右に直登すると巣原峠方向への道となる。
オフロードバイクなら、ここから巣原峠まで無事にたどり着けば、林道上野線を経由して国道157号まで到達可能なようだ。
右手奥から登って来た。
左手より登る道が巣原峠を越え、国道157号まで続く林道巣原線

   
巣原峠への林道 林道はかなり荒れている。
落石が多く一般車は車高の高いジムニーあたりじゃないと走行は無理と思う。
ひとつひとつ丁寧に落石をよけて通過する。
   
巣原峠への林道 巣原峠を目指すも、道の状態が徐々に悪くなってきた。
情報によると巣原峠付近は草むら状態らしく、オフローダーの駆動チェーンに草木の枝が絡まり走行不能になった経験談を思い出した。
仲間に助けてもらい、無事帰還できたとのことであるが、こちらは単独(ひとり)である。
峠まで行きたいがアクシデント→遭難となるので、やむなく引き返す。
峠まで残り2キロくらいの地点。  
   
林道大野池田線6P付近 巣原峠アタックを諦めて、能楽の里方向へ林道大野池田線を進むと、水海側からの主幹林道に出る。
水海から部子山登山口までの主幹林道は13Pから0Pまでポイント標識があるが、6P付近で合流する。
地点3

夕方が近くなったので、水海まで下り、宝慶寺から越前大野に出て恒例の買い出しの後に、麻那姫湖青少年旅行村へ向かったのである。
夏といえども、山の夕暮れは早い。
奥のダートからやって来た。
逆にいうと手前からは巣原峠への入り口となる。
 
   
冠山林道途中から見た徳山湖 帰路も林道冠山線を利用する。
眼下に徳山湖が見える。
往路と復路では全く違う景色が楽しめる。。
冠山林道途中から見た徳山湖。  

山行きのバイクDT50の走行距離が3万キロ近くになったのでエンジンのオーバーホールを腕の良いメカニックのいる町工場に依頼した。ピストンリングの摩耗が酷く、シリンダーに傷が入って使い物にならないという。旧車なので部品の調達に2週間近くかかってしまい、長期間のお預けとなった。修理が完了し久々に対面するも、2~3百キロの慣らし運転が必要とのこと、暫くはおとなしく走り、奥越行きはそれが終わってからにせよという。しかしリフレッシュしたバイクで早く奥越に行きたい気持ちは抑えられず、今回のスケジュール敢行となった。蘇ったエンジンは本来のトルクとパワーを発揮し坂道をグイグイ登ってゆく。燃費も向上し、なにより運転の疲労度が少ない。パワーがあるということは、走らないことからのストレスから解放されるということだ。今シーズンはもう一回は行きたいと思う。次なる目的地をゆっくり決めよう。
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