広域基幹林道 塚線
高倉峠 (再訪)

 
2016/06
 
 
雄大な連山の眺め
岐阜・福井越えでは最も西に位置する峠道
MAP
広域基幹林道 塚線
岐阜県道270号 度重なる災害復旧工事による通行止めが続いていた林道塚線が久しぶりに全線通行可能となったとのこと。
梅雨になると災害により再び通行止めになる懸念もあって、早速の訪問となった。
今回は根尾から岐阜県道270号にて、徳山と冠山林道を経由して福井入りする。
岐阜県道270号の本巣市側となる根尾村門脇付近。
   
馬坂トンネル 岐阜県道270号の馬坂トンネル。
昭和8年に完成した歴史のあるトンネル。
工事には地元の小学生も動員されたとの記録がある
トンネル出口近くで、右にカーブしているため出口は見えない。
クラクションを鳴らし進入する。

   
岐阜県道270号 岐阜県道270号の徳山側、徳山湖の東部となる岳洞山桜隧道の手前の橋梁にさしかかる。
旧道はダム湖に沈んだので、高規格の道路に付け替えられた。
   
冠山峠道路工事現場 国道417号の塚白椿隧道を出たところの駐車場付近では冠山峠道路の建設工事が始まっていた。
これより先は林道冠山線となって、福井県今立郡池田町に通じる。
岐阜県側も着工の様子だが、心境は複雑なのである。
   
池田町能面美術館 池田町志津原にある能面美術館に立ち寄り見学する。
入館料は大人300円であった。
ここから宝慶寺経由で、麻那姫湖青少年旅行村に向かう。
詳細は割愛するが、多数の能面が展示してあり見応えがあった。  
   
国道476号 麻那姫湖青少年旅行村で宿泊した翌日、最初の訪問地である林道塚線の全線走破に向かう。
まずは、南越前町から未通国道で有名な国道476号に入り、杣木俣方面に進む。
この先の杣木俣から池田町側へは通り抜け不可。  
 
瀬戸集落手前 瀬戸の集落手前を右折すると、芋ヶ平を経て林道塚線へと続く。
国道476号から林道塚線への案内は一切ないので、南越前町から初訪問の方は注意されたい。
画像右の分岐を下るように右折する。  
   
芋ヶ平 芋ヶ平のダート部分。
2015年7月掲載の高倉峠編にて紹介した、蓮如上人遺跡はこの近くにある。
ここ芋ヶ平は、かつて村落として存在していたが、後に廃村となった。
集落の起源は木地師の定住から始まり、滋賀県永源寺町(現・東近江)の君ヶ畑から分かれた、轆轤師(ろくろし)たちがその祖と伝えられる。
これより先が林道塚線となる。
   
林道塚線の南越前町側起点 林道塚線の南越前町側起点。
通行止めでないことを確認し、一安心。
   
林道塚線起点ポスト 林道塚線の起点ポスト。
総延長は9.7キロとなっている。
但し、この9.7キロは福井県側(高倉峠まで)の距離であって、岐阜県側は含まれない。
岐阜県側は道標がないので、自車の距離計での計測値になるが、事実上の終点となる才の沢の冠山林道との出合いまで、峠から10.5キロほどあった。
全線走破すると20Kmほどの計算となる。

起点:福井県南条郡南越前町瀬戸
終点:岐阜県揖斐郡揖斐川町塚
林道の正式名称は広域基幹林道 塚線という。
   
林道塚線 林道塚線の福井県側は高倉峠まで、ひたすら登り坂が続くが、温見峠のような急勾配区間はあまりない。
全線舗装済みで、一般車両も難なく通行できるはずだ。
   
林道塚線 遙か向こうまで続く林道塚線。
展望は福井県側の方が圧倒的に良い。  
   
林道塚線 高度が上がると、6月であってもやや肌寒いが、みどりの香りを思い切り吸い込む。
バイクならではの醍醐味でもある。
新緑の山道をトコトコとひたすら進む。
   
林道途中の小規模瀑布 林道途中の小さな滝。
落差8メートルくらいか?
ボトルがあったら水を汲み取りたいところ。
   
林道塚線 林道起点から5キロほどの地点。
まだ峠にさしかかった雰囲気ではない。
   
林道塚線 次第に標高が高くなり、視界も開けてくる。
高倉峠まで残り4キロくらいの地点。
   
林道途中から北西方向を見る 林道途中から北西方向を見る。
福井県の林道でよく見かけるガードブロック。
ガードレールではないが耐雪性に優れるのだろう。
 
   
高倉峠 高倉峠に到着。
高倉峠(こうくらとうげ)と呼ぶ。
標高956m 元々は木地師が往来した峠として知られる。
記念碑の真っ正面にクルマが停まっていて、避けるように撮影。
   
高倉峠からの眺め 高倉峠から見た北方向の眺め。
二度目の訪問ながら、梅雨時のこの時期は冬晴れと違って、日本海の展望は体験できず。
此度に及んで、伝説の絶景には及ばず。
冬晴れの如く、澄んだ快晴だと格別の景色であろう。
運が良ければ、日本海(若狭湾)を眺めることができるらしい。  
   
高倉峠の駐車スペース 峠のやたらと広い駐車スペース。
晴れ間が陰り小雨がポツポツ降ってきた。
天候がころころ変わるのはこの辺りの特徴のようだ。
これより先は岐阜県揖斐川町。
   
林道塚線 林道塚線の岐阜県側はほとんど展望に恵まれない。
地味な林道が続くも路面状況は良好で走り易い。
   
林道塚線 昭和58年に初走破した頃は未舗装の悪路で、道幅はもっと狭かったし、おまけにグレーチングが外れている個所があったり、酷い道だったが、ずいぶん改良されて走り易くなったものだ。
落石や路面に凹みもなく、快走できる。
   
林道塚線の幅員狭小区間 岐阜県側の幅員狭小区間が続くところ。
この路線の難所ではあるが、峻厳なスケール感は福井県側に軍配が上がる。
   
林道塚線 対向車とすれ違うこともない閑静な林道に、バイクのエンジン音だけがこだまする。
峠からずいぶん下ったようだ。
   
林道塚線 林道塚線の旅も終わりが近い。
橋の欄干が曲がっているのは、雪の重みによるものだろう。
   
林道塚線終点 林道の終点。
向こう側に林道冠山線が見える。
高倉峠よりここまで10.5キロであった。  
   
才の沢峠の三叉路 林道塚線の終点、林道冠山線と合流する才の沢付近。
池田町方面と岐阜への分岐になるが、案内標識などは一切ない。
時間に余裕があれは、林道塚線および冠山林道を使っての周回コースがお勧めだ。
林道塚線は徳山村塚からここまでの間は林道冠山線と併用区間になっているようだ。

思い起こせば、初めて林道塚線を全線走破したのは昭和58年だったので、二度目の訪問となる今回は実に33年ぶりの全線完走となった。当時は日産というよりダットサンのサニーB210型車にてダートトライアル仕様に改造した車両で、ノンスリップデフなどのオフロード向け装備が施してあったため難なく走行出来たが、車高の高い四輪駆動車のみが通行可能と言われるほどの悪路であった。道路の改良がなされた現在は、一般的な乗用車でも十分に注意して走行すれば、新緑の季節には目にまばゆいばかりの緑の深山を楽しむことが可能であろう。しかしながらこの林道は、道路崩落や土砂崩れにより頻繁に通行止めとなるので事前確認が必須である。この他にもかつて紹介した広野ダムより奥にある大河内廃村跡を訪れるため向かったのだが、再び道に迷い訪れることが出来ず、またしても紹介するに至らなかったことが心残りである。衝動で行く旅はいつも不完全燃焼で終わることを痛感した。
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